少子高齢化を背景に、ますます深刻化する「人手不足」。
製造の現場においては、より高い品質や生産性の向上が求められる一方で、その担い手となる人材の確保が年々難しくなっており、品質の維持どころか事業継続にも関わる大きな問題となっています。その打開策として近年、注目されているのが、ロボットの導入によるファクトリーオートメーション(FA)です。
FAロボット導入によって、人手不足はもちろん品質、生産性、コストなど工場が
抱えるさまざまな課題をまとめて解決に導くことが可能になります。
人の手に頼っていた生産工程の自動化を実現。人手不足による売上損失や残業時間の増大といった課題も解決します。
作業効率の向上はもとより、生産量の変動にもフレキシブルに対応できる生産体制を構築できます。
単純作業をロボットに任せることで、人の能力をより活用できる最適な人員配置が可能になります。
人的ミスがなく、24時間、高品質で安定した生産を持続できます。
生産データの収集・活用により、不良品発生の原因追跡や迅速な回収が容易になります。
労働力不足の地方でも工場の稼働が可能に。コスト面で有利な地方での生産体制も構築できます。
産業用ロボットには多くの種類があります。産業用ロボットに組み込まれている軸の数やモーター、取り付けるアームによって種類が変わり、得意な作業もそれぞれ異なります。任せたい作業によって導入すべき産業用ロボットが変わるため、ロボットごとの特徴をしっかりと把握しましょう。
最も多く活用されている産業用ロボットです。人間の腕に近い構造で、可動域が広く、3次元的な動きを得意とします。動きの自由度が高い分、精密な動きに対しては制御が複雑になりますが、汎用性が高いために人気で、運搬から溶接、塗装、組立まで幅広い工程に導入されています。
関節の回転軸がすべて垂直に整っていて、水平方向への作動に強みを発揮する産業用ロボットです。シンプルな構造で制御しやすく、強度も高いのが特徴。平面的な動きを正確かつ高速に行なえるため、基盤の組み立てや搬送作業などで活用されています。
関節を並列させた「パラレルリンク構造」を特徴とする産業用ロボットです。複数のアームで出力先を制御できるため、非常に高速で高精度な動作が可能になります。扱える重量や可動範囲は限定的で、主に食品の選定や整列などに用いられています。
直線的な動作に強みを発揮する、シンプルな構造の産業用ロボットです。誤作動が起こりにくく、低出力で省エネといったメリットもあります。設計の自由度も高いため、他の多関節ロボットと組み合わせてラインの自動化を図るケースが増えています。
双腕ロボットが人と同じ空間で共存、協働作業を可能にしました。人一人分のコンパクトな設置スペースで作業でき、コントローラを内蔵したキャスター付きの台車により簡単に移動・設置が可能です。
また、アーム部分に柔らかな表面素材を使っている他、万が一動作中に人がぶつかっても衝撃を検知して停止し安全性にも配慮しています。ダイレクトティーチングや、タブレット端末での操作・教示ができるため、ロボットを使用したことが無い方でも安心な直感的な操作ができます。
内臓コントローラ一台で画像処理が可能なため、ビジョン機能もさらに手軽になりました。
超軽量コンパクトな卓上型の協働ロボットです。
省スペース設計で、機械の内部に組み込むことや、狭い作業場での使用に最適です。
すべてのジョイントの自由度は±360度、先端のエンドジョイントは無限回転が可能なため人が卓上で行う組み立て、分注、品質管理、ネジ締めなどの自動化に適しております。
産業用ロボットは状況に応じてアームを制御して、工場の規模や扱う製品にかかわらず作業の自動化ができます。産業用ロボットがどんな業界や現場で活躍しているのか、活用事例をご紹介します。
ある工場の製造現場では、検査工程である基板の検査結果判定においてOK・NGの基板を振り分ける作業があります。
この作業を前工程の部品を挿入する作業から自動化を構築。
作業員のミスを軽減するとともに作業効率を向上させることができました。
あるスーパーマーケットでは、飲料の陳列と在庫管理にかかる人的コストが大きく、これを自動化することでスタッフを付加価値の高い業務に集中させたいと考えました。そこで、飲料の残数を変位センサで測定し、缶の向きを認識してバーコードを読込めるようなセンサーを搭載した多関節ロボットの小型試作デモ機を開発。完全移行には至っていないものの、作業効率の向上や人的コスト削減につながる見込みを得ています。
食品加工会社では、べテランの手作業に依存していた作業の自動化を検討。これまで不可能とされてきた技術を実現するべく、3次元計測で画像処理を行いながら2台の水平多関節型ロボットを活用して製造するプログラミングを開発しました。結果、作業員を3人から1人に削減でき、一人当たりの生産性は2.5倍に向上しました。
生産性を高める。それはすべての製造業における永遠のテーマです。そして、製造工場には生産性向上のための課題が多く存在します。工場へのロボット導入による作業自動化は、そうした課題の解決策として注目を浴びています。
ロボットの導入と一口に言っても、工場によって扱う製品も作業行程も違いますし、抱えている課題も千差万別です。
まずは【検討のフェーズ】として、自分たちがなぜ作業の自動化に取り組むのか、目的を明確したうえで、例えば社内導入チームをつくるなどして導入現場の問題点を洗い出し、改善案を描いていくことが必要です。
さらに【準備のフェーズ】に移ると、ロボット導入のパートナーとともに投資予算や導入時期も詰めながら、ロボット化の具体的なプランを設計。ロボットの選定や付帯設備・治具の作成を経て、試運転、稼働へと進めます。
ロボットの導入は、設置・稼働したら終わりではありません。
導入後もメンテナンスや技術的なサポートが重要になるケースが多いので、運用面においても信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。
ロボットの導入は、生産性向上や人手不足の解消などさまざまなメリットが期待できる反面、ロボット本体の費用に加えて付帯設備やメンテナンスなど、なにかとコストがかかります。
そこで注目したいのが、ロボット導入企業を対象にした公的な補助金です。補助金によって受給の対象や条件が異なり、公募要領も年度ごとに替わるので、事業内容や会社の規模などが条件を満たしているかどうか、調べてみましょう。
2018年6月6日に「生産性向上特別措置法案」が施行され、この法律に「先端設備等導入計画」が措置されました。これは中小企業や小規模事業者が設備投資をきっかけに労働生産性の向上を図るための計画で、対象者は地方税制において固定資産税の特例を受けることが可能になります。
対象者 | 資本金額1億円以下の法人、従業員1,000人以下の個人事業主のうち、先端設備導入計画の認定を受けた者(大企業の子会社を除く) |
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要件 | 【減価償却資産の種類(最低取得価格/販売開始時期)】 |
機械及び装置(160万年以上/10年以内) | |
器具及び備品(30万円以上/6年以内) | |
措置内容 | 固定資産税の課税標準を、3年間ゼロ〜1/2に軽減 |
平成29年4月1日の税制改正により、中小企業・小規模事業者を対象に創設されました。中小企業や小規模事業者は、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請して認定されることにより、中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援が受けられます。
対象設備 | 【日本ロボット工業会担当の設備】 |
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機械及び装置(生産用ロボット設備、電子部品実装設備)(1台160万円以上)器具及び備品(ロボットに関するもの)(1台30万円以上)(平成29年度から追加) | |
要件 | 中小企業投資促進税制に該当する全ての事業 |
要件 | ①中小企業等経営強化法の認定(主務大臣(担当官庁)から計画認定を受ける) |
②販売開始要件 | |
③生産性向上指標に係る要件(年平均1%以上) | |
※②及び③は、日本ロボット工業会が行う証明書発行の対象要件 |
スマートファクトリーの時代を見すえるお客さまのモノづくりの変革を、工場まるごとでお手伝いすること。
それが私たち成電社のめざすサービスのあり方です。
お客さまの経営ビジョンと生産現場の課題に真摯に向き合い、エレクトロニクスのプロフェッショナルとして培ってきたIoT・AI・ロボット等のテクノロジーと主要メーカー製品を広く網羅したネットワークを活用し、お客さまの事業発展に最適なソリューションを提案いたします。